第6回取材旅行 その2
渡航国 ブルガリア
訪れた街 ソフィア
期 間

2013年7月7日(日) 〜 2013年7月10日(水)

言 語 ブルガリア語 (英語はボチボチ通じました)
通 貨 単数レフ 複数レヴァ
航空会社 カタール航空
アクセスルート 移動 ブカレスト北駅 →12時間20分→ ソフィア中央駅
  復路 ソフィア ソフィア国際空港 →5時間10分→ カタール ドーハ国際空港 →9時間30分→ 成田空港
泊まった宿 ソフィア Rila Hotel

ルーマニアでの取材を終えた僕たちは国際夜行列車でブルガリアのソフィアへ。 の予定なのですが、ポーランドのワルシャワから遠路はるばる走ってくる列車がまだ到着しません。 同じことを考えているバックパッカーたちがだんだんインフォメーションボードのところへ集まってきました。 そこへ・・・

「あ、列車が来たみたいだぞ!」 インフォメーションボードの前で腕組しながら待っていた各国のバックパッカーに誰かが言いました。 なるほど暫くしてインフォメーションボードのDeparture側にソフィア行きの表示が出たではないですか。 しかし発車時刻を過ぎているにもかかわらず、出発ホームのナンバーが表示されません。 僕らは取りあえずワルシャワから着いた列車のホームへ移動してみました。 そこへ丁度通りかかった駅員に「この列車はソフィア行きですか?」と訊いたのですが、どうやら英語が通じません。
すると列車の前方から「お〜い! こっちの車掌は英語が話せるぞ!」との声が。 バックパッカーたちがそちらへ殺到します。これでようやく乗るべき列車とコーチがわかりました。 ところが・・・あれ? 寝台車じゃないんだ・・・というわけでこうして夜を明かしたのでございます。

ルーマニアとブルガリアはともにシェンゲン協定に参加しています。 しかし、協定は締結してても発効していないのです。 というわけで深夜、どこかの大きな川を渡ったところでルーマニアのインスペクターがパスポートを集めて行きました。 ほどなく彼は戻り、出国スタンプの押してあるパスポートが戻り、ちょっと進んで今度はブルガリアのインスペクターが乗ってきました。 これでようやく人心地つき僕たちは深い眠りへ。
ふと目が覚めると時計は8時過ぎ。車窓からはこんな風景が見えます。 いまどの辺を走っているんでしょうね?

風景が街らしくなってきました。間もなくソフィアでしょう。

結局、ソフィアに到着したのは正午近く。概ね1時間半の遅れでした。腹ペコで何か食べようと思いましたが駅にはしょぼいサンドウィッチを食べさせる軽食店くらいしかありません。
じゃホテルまで行って荷物を置いてから食事にしよう! ということになり、ソフィア駅から地下鉄に乗り換えて中心部へ。
ソフィアでのホテルはここ。いかにも社会主義時代に建てられた団地風の佇まいです。

チェックインはすんなりいきましたが直後に驚いたのがこれ。エレベータに乗ってみると、なんとかご側の扉がないじゃありませんか! なので動き出すと画面左側の面がビューっと下に動いてゆきます。こわ・・・

部屋は簡素で清潔。しかしふたつ問題がありました。一つ目は冷蔵庫が壊れていたこと。修理は不能だと思います。なぜならデザインからすると、こりゃ明らかにソビエト製! 真空管で動いてるんじゃないかしらん? ま、それはいいとして窓が壊れて開きません。エアコンはついてますけど新鮮な空気を入れたいのでフロントに相談しました。それでお引越しです。

交通費程度の通貨レフを駅のATMで出しただけでしたから、食事の前に両替です。ここはレートがいいのでローカルたちも並んでいました。
これがレフです。そうそう引っ越した部屋は418号室。

シャワーを浴びて夜行移動の汗を流したら目抜き通りのヴィトシャ通りへ。広い道路が歩行者天国になっており、両側にお洒落なお店がたくさん並んでいます。

一本裏にあるもう一つの繁華街イグナティエフ通りはトラムが走っています。ポルトガルのリスボンを思わせるレトロな雰囲気。

中心の地下鉄セルティカ駅から東へ行くと、そこには旧共産党本部の威容がそびえています。どうも社会主義的デザインの建物は仰々しいですな。人間が小さく見えます。

さて、目指したレストランはここ。目立たないので見落としてしまいそう。
あ〜、お腹空いた! 朝食抜きでしたからね。さっそく頼んだ一品目はブルガリア名物、ヨーグルトの冷たいスープのタラトール。水で薄めたヨーグルトに刻んだキュウリとハーブのディルが入っています。さっぱりしていてとてもおいしい。

これはヤギのチーズを散らしたショブスカサラダ。チーズの塩気が新鮮な野菜とよく合います。

これもギリシャをはじめバルカン半島の国々でよく見かけるチーズのフライ。ビールによく合いますよ。

そしてトルコから伝わったケバブチェ。形はオリジナルに近いけれども肉はポーク。

どれも美味しくてブルガリアで最初の食事は大満足です。

お腹もいっぱいになったところで少しキリル文字を覚えましょう。ブルガリア人はテュルク系遊牧民のブルガール人と南スラブ人の子孫で、 言語はインド・ヨーロッパ語族のスラヴ語派南スラヴ語群に属するとされています。 そこで使われている文字はスラブ語派ではファミリーのロシア語と同じキリル文字。 なんでこんなお勉強をしなければならないかというと、 鉄道やバスの行き先がわからなくて迷子になってしまうからです。で、これをラテン文字に変換すると、BIG MAC になるのです。

この時期のバルカン半島中部は日中にしばしば強烈な雷雨がやってきます。たいていすぐ止みますからカフェに入ってやり過ごし、それから雨上がりの散歩を楽しみましょう。

オスマン帝国時代に作られたモスクは現役です。まだトルコ人も人口の10パーセント弱住んでいますからね。

ここでも興味深いライブがやっていました。おいおい、Roger Waters の The Wall だって? 元社会主義の国ではまりすぎじゃん! 見てみたかったなぁ!

夜はホテルの近くの脇道で見つけたこんな素敵なレストランへ。

ルーマニア、ブルガリア共にワインはとてもおいしいです。面白いのはフレンチワインでお馴染みのシャルドネやメルローの飲み比べ。どれもよりボディが太い印象を受けました。さっぱりしていてもどこかに力強さを感じます。買って帰りたい!

基本的に炭水化物をパンから摂る文化ですから、当然パンが美味しい。この一皿だけでも満足できますよ。バターの他にシンブルを中心としたミックススパイスをかけて食べるとこれまたイケます。

一品目は野菜とチーズを卵でとじて炒めたミシュマシュ。ハーブが香るやさしい味です。これなら朝食にもいいですね。

これは水切りヨーグルトで作ったスネジャンカ。滑らかだけどコクがあり、知らずに食べるとクリームチーズのブルサンとそっくり。

メインは濃厚なポークシチューに卵を落とし、オーブンで焼いたカヴァルマ。この料理は先に訪れたルーマニアのトキトゥーラに似ていますが、様々な付け合わせはなくシンプルなシチューになっています。もしかしたら根は一緒なのかもしれませんね。

治安がいいので食後は少し散歩して帰りましょう。これはアレクサンダル・ネフスキー寺院。5000人を収容できるブルガリア最大の寺院です。
ここは駅からすぐ近くのビルの裏にある聖ゲオルギ教会。なんと4世紀にローマ帝国によって建てられてから今でも現役です。そばを通ると祈りの声が聞こえてきます。

ここのホテルの朝食です。内容的にはコンチネンタルですけどチーズと地区肉製品の素材が美味しい。しかし不思議だったのは、レストランで流れている音楽です。なぜかクラブで回すようなトランスミュージックが朝から結構な音量でかかっているのですよ。そのうちホールのお兄さんが躍り出すのかな?


翌日はトラムとバスを乗り継いで世界遺産のボヤナ寺院へ。
小ぶりですが西ヨーロッパではあまり見かけない独特な建築様式。内部のフレスコ画も個性的です。

バス停まで戻る道で見つけたレストラン。いい感じですね、入ってみましょう。

直観はアタリでした。ここのカヴァルマは絶品ですよ。これに後ろの焼き立てパンを付けて食べると一食完結です。ちなみに器にちょっとご注目を。美しいデザインでしょう? このブルガリア独自の陶器を買って帰りたかったんですけどね。バックパックじゃ割れてしまうからなぁ・・・残念!

市内中心部に戻ってきました。ソフィアってある意味地味な街なんですけど、なんか落ち着いていて居心地がいいです。

こんなお洒落なカフェも沢山あります。歩き疲れたらコーヒーを飲んで絵葉書でも書きましょう。

そうそう、スィーツもたまらんですよ。何を頼んだってハズレなし。

ホテルの近くでいつも混んでいる店を発見。どんな店かと思ったらアイスクリーム屋でした。そんなに美味しいのかしらん? で入ってみたら、さすがは酪農国。乳製品の美味さは特筆に値します。種類が豊富でサイズの指定もできました。もちろん僕たちがオーダーしたのはSサイズ。Sサイズですよ、これが! Lサイズを食べている猛者を見かけましたが、あれは器ではなく花瓶だな。フードファイト級の大物と格闘していました。

セルティカ駅前の広場で見た夕焼け。じっと見ているだけで心が洗われる気がします。

取材で食べなければいけませんが、あんまりいい匂いがしていたものですから一つ買ってしまいました。

今夜はこんなレストランでディナーです。

覚えていますか? ブカレストでも食べたペースト3点盛り。ここではパプリカとナスは一緒ですが、中央の白いのはヒヨコ豆ではなく水切りヨーグルトのスネジャンカ。これに香ばしいパンとコクのある赤ワイン。最高ですよ!

お店の雰囲気がよく、スタッフも英語がまぁまぁ話せてフレンドリー。民俗音楽のライブも始まりました。ブルガリア最後の晩にふさわしいお店ですね。

ほかの料理もおいしいですよ。これはブルガリア風のドルマ。ブドウの葉でライスとひき肉を巻いてベシャメルソースを添えてからオーブンで焼いたもの。日本ではなかなか味わえない逸品です。

ここのカヴァルマも美味しかったです。フレッシュのチューブリッサーがいいアクセント。一般的にヨーロッパのレストランは定番料理に独自のアレンジをして他店との差異化を図るようなことは、あまりしませんんね。クラシックへのこだわりというか、尊重する気持ちがビジネスを超えて感じられます。

海外旅行と言えば、有名観光地を訪れるのが定石ですが、 僕らはこうした『ただの路地』を歩くのが大好き。 確かに驚くようなランドマークはありませんけど、 その国、その土地の文化が肌で感じられる地味が発見があるのですよ。

最終日は街の中心部から北東方面にあるステファン・スタンボロフ通り周辺へ。 この辺りは東京に例えるなら下町。とくにジェンスキ・パザルはご覧の通り、庶民の市場が広がっています。 街そのものが飾り気のない、素顔のソフィアという感じ。この界隈には安宿も幾つかあったので、 次に訪れたなら、ここを拠点にしてみたくなりました。

野菜やフルーツの鮮度は抜群です。どれも美味しそう。 こうした売り方は日本であまり見かけなくなりましたね。 みんなキロなんぼで買って行きます。 中には僕らの言う『規格外品』も混ざっていますけど、そんなことは気にしない。 そもそも自然の産物に『形が悪い』なんていう工業製品みたいな『質』を期待していないのでしょう。 曲がっていようがまっすぐだろうがキュウリはキュウリですからね。

こうした場所では普段着の土地の人々を見れるのも面白い。 服に留まらず、表情や人との接し方なども、外国人の目線を機にした『よそ行き』のものではありません。 この空気感が僕たちは大好きです。

そしてこうした市場の周りには、買い物客や働いている人々を対象にした安食堂が必ずあります。 お店も料理もお洒落度ゼロですけど、その土地の文化をお腹から感じるには絶好の場所なんですよ。 ほら、さっきの市場で売っていた素材がこんな風に料理されています。美味しそうでしょ?

英語が全く通じなかったので何だか分かりませんが、田舎風ミートパイという感じかな? 結構ボリュームがあります。注文はにっこり笑って指差しで行いました。

これはちょっとスパイシーなミートボール入りのシチュー。油っぽくなく野菜もたっぷりでヘルシーです。

夕食まではまだ全然早いのですが、出発前に頑張ってもう一食食べておきました。 これはブルガリア風ハンバーグ。スパイスにチューブリッサーが使われ炭火でこんがり焼かれているため、 ボリュームの割には重くありません。

ブルガリア料理はどれも美味しいのですけど、 ととら亭で旅の料理として紹介するには、おっと思わせる個性が欲しい。 そうした意味であと一品候補があればと焦っていた時に、9回裏の大逆転的に出会ったのがこれ。 メニューには『シュニッツェア』となっていたので、ブルガリア風のカツレツだろう思ってオーダーしたら、 出てきたのはあっさりしたチキンの挽肉に溶き卵の衣をつけて焼き上げた、ピカタのようなもの。 これが意表を突く美味しさではないですか! ご当地柄ヨーグルトソースを付けて食べると絶品です。 最後まで粘って良かった! でも・・・食べ過ぎで苦しい・・・最初の機内食はパスしよう。

ソフィアの中心からソフィア空港までは地下鉄と路線バスを乗り継いで移動しました。 ドーハ行きのQR944は14時30分発。 いよいよこの旅もフィナーレです。

それほど規模は大きくありませんが、まだ新しいソフィア空港。 この時期のバルカン名物の雷雨が前方からやって来ました。 僕らが飛ぶときは晴れるといいなぁ。

ドーハまでは鈍行です。そうブカレストで一度降りて、お客さんを乗せてからドーハへ向かいます。 ソフィアを飛び立って45分で着陸。小1時間経ってもう一度離陸。トータルで5時間10分ほどかかりました。

このフライトでサーブされた軽食のサンドウィッチ。
食いしん坊のともこさんは「これ美味しいよ!」とペロリ。 確かにヨーロッパの短距離便で出てくるサンドウィッチって美味しいことが多いんですよね。

カタールに到着したのは現地時間22時55分。 ここから2時間55分のトランジットタイムを経て成田へ。 往路と同じくアラブ飯の機内食はほどよくスパイシーでとても美味しいです。

定刻通りに離陸したQR804便。 機長のアナウンスによると航路上の気流は安定しており、 9時間30分で成田に到着するとのこと。 食事が終わってひと眠りしたらぼちぼち着陸か。 今回もいい旅になりました。 初めて訪れたバルカン半島。次はぜひ地方都市をゆっくり回りたいですね。 きっと珍しい郷土料理が僕たちを待っていることでしょう。

See you on the next trip!!

 

取材の結果はこちらをご覧下さい。→ ブルガリア料理特集

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