<< 洋食は和食なり >>

 

「洋食は和食なり」などと言うと和食の職人さんに怒られそうですが、
僕たちは真面目にそう考えています。

ハヤシライス、ポークカツレツ、ポテトコロッケ、オムライス、ドリア、トルコライス、エスカロップ、
新しくはタコライスなど、一般的に「洋食」と分類されている料理は、実のところ、日本以外の国で、
お目にかかれないものばかり。(もしありましたら教えて下さい。取材に行ってきます!)
「洋食にして洋に在らず」とは不思議な話だと思いませんか。

各料理の生まれは諸説ありますが、オムライス(煉瓦亭か北極星)、タコライス(パーラー千里)など、
発祥がほぼ同定されているものもあります。
それらに共通しているのは、素材や調理方法が外国からもたらされたものでも、
料理として確立したのは日本であること。

近代からさらに時間を遡れば、より興味深いものが見えてきます。
今ではお袋の味の代表とも言える肉じゃが(じゃがいもの原産地はペルー)やカボチャ(メキシコ原産)の煮物、
ホウレンソウ(ペルシャ原産)のおひたしなども、
素材がもたらされた頃にはさぞかし斬新な料理であったに違いありません。
その考え方を拡大すれば、日本人の主食たる米ですら、「かつての洋食」と強弁できなくもないでしょう。

100年単位のスパンで俯瞰すると、
外国の食材や料理が伝わって暫くは所謂バタ臭い洋食にカテゴライズされ、
数世紀を経て「帰化」すると、和食としての国籍を得る物語が見えるて来るように思われます。
要約すれば、外国の料理 → 洋食 → 和食となりますでしょうか。
文化が融合する過渡期のカテゴリー、それが「洋食」なのかもしれません。

マクロな話になりますが、食とは音楽や舞踏と同じ、人類の共通言語のひとつであり、
矮小なナショナリズムを超えて、それを伝えるのも、僕たち旅人のミッションなのではなかろうか、
僕たちはそんな風に考えているのです。

そう、ととら亭で紹介する旅のメニューとは、「和食の種」なのです。


 

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